長時間残業の依存しない働き方
数ヶ月期間を空けてしまったが、実は(元)同僚も見ているようなのでちゃんと更新していこう。。。
昨日、僕の会社で年次全社ミーティングがあった。今回の内容、これまで8回出席した中で最もエキサイティングで素晴らしい回だったので思ったことを残しておきたい。
ざっくり言うと、以下のような内容だった。
- 各組織のアップデート(特にDigitalのキーワードで)
- ワークスタイル変革のアナウンス
- チームラボ猪子氏のゲストスピーチ
3点目も非常にエキセントリックな内容だったので別途記事にするとして、今回は2点目について。
忌むべき文化
「仕事が出来れば何をしてもOK」というのが昔からの会社の文化だった。その一方で、大企業にもなりこれまでのように昇進・昇給することも難しくなってきたこともあり、「残業代で給料を稼ぎたい」という考え方もとくにSIやアウトソーシングの現場には出てきていることも事実。
両者は相対する価値観にも関わらず、これらが掛け合わさって以下のような問題が顕在化して久しい。
- 長時間残業することを前提とした働き方、時間に対するルーズさ
- 顧客や(特にカラーの異なる)他者に対する礼節、個人の尊重の欠如
更に具体的には(ミーティングでは自分が当てはまる場合は立ってマルを出すというやり方だった)
- 定時外にミーティングすることが常態化している
- 深夜に「明日朝までにやっておいて」と平気で支持する
- 残業を前提としたプロジェクトスケジュールを立てている
- 顧客メンバとすれ違っても挨拶をしない
- オフィスにゴミが落ちていても気にしない
- 顧客や中途採用組の同僚について平気で悪口を言う
- 朝出社時にまったく挨拶せずに無言でPCを立ち上げる
- 朝の出社や会議開始などに遅れることが常態化している
- 育児中などの家庭の事情を持ったメンバに配慮が出来ない
- (本当のパフォーマンスではなく)多く残業しているメンバを評価する
特に長時間残業について、問題の出方には2パターンあると思う。
- プロジェクト予算が潤沢な場合、求めるクオリティや作業量は高い一方でコストがかさんでもあまり問題にはならないため、マネジメント側も残業に対して寛容(ルーズ)になる。スタッフ側も残業代を稼げるのでダラダラと長時間働く。
- プロジェクト予算が枯渇している場合、予算とスケジュールがタイトな一方作業量が多いため、上から下に「何とかしろ」というマネジメントではないマネジメントが続き、長時間のサービス残業が強いられる。(結果、プロジェクト終了前後で大量に退職者を発生させる)
幸いなことに私自身は(若干は自分のマネジメントの成果、と信じておこう)後者のような状況に長期間関わったことはないが、前者の状態は確かに存在してしまっている。
半ば当たり前になってしまっていたこの文化に対して、初めて全社ミーティングで取り上げそこにメスを入れていかなければいけないと会社としてオフィシャルに表明されたことはこの会社にとって非常に大きな意義があるはずだ。
僕のチームの場合
今月、残念ながら緊急性の高い障害が発生してしまったのでまさに自分のチームでも長時間残業をせざるを得ない状況となった。そうでなくとも残業に対して寛容(ルーズ)な雰囲気のあるプロジェクトのため何もしなければ問題となるレベルまで残業が膨らんでしまう状態だった。そのような状況を絶対に作りたくなかったので(この背景はちょうど資料作成中などで別途書きたい)、以下のようなマネジメントをしていった。
- 残業時間の定期的なモニタリング。マネジャー、チームリーダクラスで週次でレビューする。これは長時間残業が発生していない平時から実施している(そうでなければ変化を早いタイミングで察知出来ないし、察知できる仕組みを確立しておけない)。
- メンバのタスク単位でのマイクロマネジメント。チームの自走化ができているので、平時は週2回の案件レビュー会以外はほとんどタッチしないようにしている。そういう時でも細かくみてしまうとメンバのマネジメントスキル向上を阻害してしまう。一方で今回のような問題が発生した場合はタスク単位で状況を把握し、優先順位付け(次にすべきタスクの指示、今日やるべきこととそうでないことの切り分け)や、タスクの具体的な方向性の指示などまで含めてマネジャー側から行う。これはタスクの整流化・効率化の意味合いだけでなく、通常移譲しているマネジメントタスクをいったんマネジャー側に戻すことでメンバに実タスクにフォーカスする時間を確保することにもなる。*1
- 長時間残業が及ぼす影響(会社のコスト、個人の評価、健康、また労働基準法的観点から)についてメンバに知ってもらう機会を作る。上述のようなマイクロマネジメントを行う上で、いきなりマネジャー側から実施してしまってはモチベーション低下や反発を招きかねないし、また実際にそのような影響について若いメンバは特に単純に知識がない。背景を知ってもらい、意図を理解してもらった上で行う場合とそうでない場合は結果にも影響してくる。
十分に行えた部分とそうでない部分があり、自分としても非常に勉強になった経験だったが、メンバに対してコスト意識、パフォーマンス(成果/コスト)意識の醸成につながっていけば、全社的なムーブメントにも寄与するはずだ。
*1:とはいえマネジメントタスクを取り上げる、細かい作業指示をするというのは当然メンバのモチベーション低下につながるので塩梅が難しい。。今回も残業時間低減だけを考えればもっと強行的にマイクロマネジメントをすべきだったが、かなり口出ししない部分を残し、故にその分残業時間は膨らんでしまったと思う。