IT人材白書2014をプロマネ視点で読み解く
IPA(情報処理推進機構)発行のIT人材派遣の2014年版を流し読みしてみたので、このブログのテーマでもあるプロマネの話題中心に気になったポイントをピックアップしておく。
https://www.ipa.go.jp/jinzai/jigyou/about.html
Web企業はIT企業(SIer)よりもPM手法を重視しない
Web企業、IT企業(すなわちSIer)、ユーザ企業の3分類で今後拡大予定の技術力についてのグラフが以下(同書p.44)。
これによるとどの企業分類でも圧倒的なのは顧客や業務の分析力、企画力といった、所謂ビジネスアナリシスの技術。このあたりは当然ではあるが、トレンド的に増加傾向なのかそうでもないのかも見てみたいところ。これまでクラフト(職人芸)的に暗黙知化されていた領域ではあったがだんだんBABOK(PMBOKのビジネスアナリシス版)も知名度が上がってきているので、今後サイエンス化(定型化・体系化)されていくのはないかな。
そしてWeb企業ではIT企業・ユーザ企業に対して半分程度しか重要視されていないのがPM手法。白書によれば「スマートホンアプリなどについて比較的小規模・少人数の体制で開発が実施されている ことの反映だと思われる。」とのことで、確かに小規模開発のほうが大規模開発よりもマネジメントを意識的には行わず、定型化された手法(図や統計値)も使う機会が少ないかも知れない。確かにEVMを使った進捗管理のような、いわゆるPM手法は出る幕が限られるのだろう。しかしスピード感が求められ、市場に近いWeb企業のほうが、リスク管理や、人材のモチベーション管理などについてはSIerと同じか、それ以上に力を入れる必要があると思う。このあたりは実際Web屋さんたちがどのように考えているかはお聞きしてみたいところ。
プロマネに必要な能力
次に、IT人材に対して重視される能力について(pp.98-105)。ここではWeb企業について言及がなく、IT企業、ユーザ企業のみの分析になっているのが母数的に謎。いったんIT企業=SIerだと思っておこう。
IT企業で最も拡大していきたい職種はプロマネとのこと。 後ろのページ(p.143)にあるが絶対数としても「アプリ技術者よりもプロマネが多い」という結果が出ているが、これはさすがにおかしいんじゃないか。考えられるとすると、技術者は既にオフショアが大半で日本国内だけで見ると管理職>技術職という可能性だが、さすがにそこまでオフショア化されていないと思うし。いずれにせよ、IT企業としてはプロマネの需要は高いということ。
そのプロマネに対して求められる「人間力」が以下のグラフ。(こういうのを人間力というのか、、いや違う気もするが。)面白いのは「管理能力」については25.1%とそれほど高くなく、アプリ技術者に求められる水準とそれほど変わらず、それよりも「問題解決能力」や「リーダーシップ」が求められているということ。
結局プロマネは専門職であることを求められているわけではなく、問題を見つけてそれを解決するための道筋を示し、それにメンバを引きずり込むようなリーダーとしての能力が求められている。言われたことだけを粛々とこなすなんちゃってプロマネが多いなか、経営層から求められるプロマネ像との間にギャップを感じる。
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