ぷろまねさん

グローバルコンサルティング会社でシステム開発・運用保守(アプリ方面)のプロジェクトマネジャーをしています。2014年PMP取得。アジャイル開発などの開発手法、Redmineなどの開発ツールを話題の中心に書いてます。

DigitalとITとは何が違うのか

ここ1年~半年ほどで、自社内で"Digital"という言葉が頻出し始めている。

しかしその明確な定義は(少なくとも僕のキャッチ出来ていた範囲では)提示されておらず、しかもこれまで当たり前のように使用されていた"IT"(当然Information Technology、情報技術の意)と寸分違わない意味に聞こえる。

そのような状況でモヤモヤしたが、以下のガートナー@IT Mediaの記事を通してスッキリと理解出来た。

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1405/07/news017.html

エレクトロニクス領域のテクノロジ全般?

この記事では「デジタル」を「情報/テクノロジの電子的なすべての形式および使い方」と定義し「エレクトロニクス領域全般のテクノロジ全般」とほぼイコールている。

 

なるほど、やっぱりわからん。

 

いや、意味は分かる。でもそれってやっぱり"IT"と何も違わないのではないか?

SIを通して作られる基幹システム・ERPなどもITだし、SNSスマートフォンなどもITだ。そのITと、Digtalは何が違うのか?

トランザクション型のIT」

しかし同記事ではITとDigitalとを区別するためにITをまず「既存のIT」を揶揄する。「既存のIT」とはすなわち「トランザクション型のIT」、今では大~中堅企業では導入されていないことはまずない勘定系システムを中心とした基幹システム≒ERPのこと(とその周辺システム)を指している。

このような既存のITに対してDigitalはセンサー発信データ処理や、(バックオフィスではなく)フロントオフィスで新規顧客開拓に使用するような(おそらくソーシャルやビッグデータ等と紐付いた)テクノロジを含むそうだ。このあたりを包括して説明する単語がないので、仮に「工学的テクノロジ」と呼んでおこう。

ちなみに自社内でこのような区別を「コツコツ系IT」と「ウキウキ系IT」と読んでいる人がいた(言葉尻はちょっと違うかも)。おそらくほぼ同意味だと思うが、この命名は遊び心があってちょっと嫌いじゃない。

一緒と言えば一緒、違うと言えば違う

結局そう、ITとDigitalはほぼ同じ意味のリラベリング(言い換え)に過ぎない。

当然これまでITというワードは工学的テクノロジも網羅した情報技術全般を指した言葉だった(はずだ)。FacebookAppleをIT企業ではないと区別していた人はいないだろう(むしろSI企業界隈にいない一般の人にとって、IT企業とは上記のような企業のほうが一般的だろう。)

しかしDigitalという(古いけども新しい)ワードを使用することによって、ITの定義をこれまでよりも矮小化して、現在隆盛している、注目すべき分野にスポットライトを当てた、というのがDigitalというワードの「意味」であり、「目論見」であろう。

SI is dying

リラベリングだから意味が無いのではない、こうやって工学的テクノロジを強調することでこれまで受託開発でERP構築ばかりをやってきたSI企業に警鐘を鳴らしているのだ。

 

いつまでSIしかやらないつもりですか?
もうその市場のパイはしぼむ一方ですよね?
そのままだとあなたがた死にますよ?

 

と。